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議会の録画・ライブ映像(宮崎県議会 議会中継)
※質問の内容は抜粋して掲載しています。
※全文の内容は
宮崎県議会 会議録検索システム
からご覧いただけます。
2008年3月 中山間地域振興対策特別委員会 委員長報告 当委員会では、中山間地域の振興及び都市部との格差解消に関する所要の調査活動を行ってまいりました。調査結果につきましては、お手元の報告書のとおりでありますが、その概要を御報告申し上げます。 まず、中山間地域の実態についてであります。当委員会は、県内の中山間地域を幅広く回り、できる限り、住民の方々の御意見をお聞きするよう努めました。 西都市の銀鏡・上揚地区において区長さんが訴えられたのは、JA支所の為替業務の廃止の動きについてでありました。為替業務の廃止は、送金や年金等の引き出しなど生活や産業活動に重大な影響を与える問題であります。市街地までは車で往復約2時間かかり、廃止となると、車を運転できない高齢者等は途方に暮れることになると話されておりました。 医療の問題も、また切実でありました。通院が必要な高齢者を家族が車で病院に連れていく場合、仕事ができずに、家庭が成り立たなくなるような事例があるとのことでありました。 県の調査によれば、本県の過疎地域等における高齢化率50%以上の集落は104集落で、うち86集落が山間地の集落であります。そこには、思うように通院できない高齢者の方々も多く暮らしているはずであります。当委員会の意見交換会で、諸塚村長も、一人暮らしの高齢者等に対応する施設や住宅が必要であると言っておられました。今後、さらに高齢化は進みます。医療の確保も考慮された高齢者等を対象とする住宅や施設を、地域の中に整備していく必要があると考えます。 えびの市の大河平小学校では、児童数はわずか1名でありましたが、地区の行事と学校行事が一体化されるなど、学校は地域にとって欠かせない存在となっておりました。しかし、当委員会の調査の後、大河平小学校は来年度から休校となることが決定されたのであります。休校・廃校となっても、跡施設を地域活動や交流事業等に活用できれば、地域の活力維持につながるものと考えます。県においては、関係部局間で連携を図り、学校跡施設の活用策や手続について助言するなど地域や市町村に対する積極的な支援が必要と考えます。 次に、地域の特性を生かした中山間地域振興についてであります。 当委員会が、調査を通じて改めて認識できたことは、地域づくりに必要なものは、何より、そこに住む人々の「意識」そのものであるということでありました。五ヶ瀬町桑野内地区では、地元の方々で結成された「夕日の里づくり推進会議」が中心となって、「農村民泊」や手づくりのイベント等が実施されておりました。 地区では、「開発すべきは人の意識」とういう理念の下で、行事等を実施する場合、全世帯に情報が提示され、アンケート等によって各世帯の意見が集約された上で、行事実施の後に再び意見を求めるというシステムが確立されておりました。 このような民主的な手続きが10年以上継続されることによって、住民の方々の間に「自分たちができることは、自分たちでやっていく。」という共通した意識が高まり、現在のような県内外から多くの方々が訪れる成果につながったと考えます。 山口県では、県と市町村が共同で、コミュニティ組織づくりのガイドブックを地域に示しておりましたが、過疎化・高齢化が進む中で、集落機能を維持していく上でも、また、地域づくりにつなげていく上でも、県と市町村が一緒になって住民意識の啓発に取り組んでいく必要があると考えます。 次に、過疎対策についてであります。 関係部局からは、これまで、過疎対策として2兆円を超える額を投資してきたとの説明がありましたが、委員からは、「多額の費用が投じられてきたにもかかわらず、過疎化や高齢化に歯止めがかからなかったという事実を真摯に受け止めなければならない」等の意見が相次ぎました。 旧東米良村の人口は、昭和の大合併前は、5,000人を超えていたものが、現在は、実に1割未満まで激減しておりますが、過疎地域には指定されておりません。 また、一方で、平成の市町村合併によって行政の広域化が進む中で、地域の過疎化・高齢化の実態が見えにくくなり、本来、必要であるはずの地域において過疎対策が講じられないことが懸念されます。 県は、本年度実施した「集落の現状に関する調査」の結果も踏まえ、地域の実情に即した過疎対策が講じられるよう国に求めていくべきであると考えます。 最後に、知事直属の組織体制の必要性についてであります。 県は、「中山間地域の衰退は本県全体の衰退につながる」という極めて重い認識の下で、平成20年度重点施策として『中山間地域・植栽未栽地対策』を掲げ、中山間地域の活力再生を図るため、今後も短期的、中長期的施策を総合的に展開することとしております。 しかしながら、県財政は大変厳しい状況にあります。費用対効果が厳しく問われる中で、居住者数が少ない中山間地域に対して重点的に施策を講じていかねばならない理由をしっかりと県民に説明し、また、施策が展開される「中山間地域」とは一体どこなのか、明示すべきと考えます。 都市部との間に大きな格差が存在する中山間地域においても、人がそこに住む限り最低限の生活は維持・保障されなければなりません。また、中山間地域が果たしている多面的で公益的な機能は、次代に残していかなければならない県民共通の貴重な財産であります。 だからこそ、効率性の論理とは相容れないと見られても、中山間地域においては、財政的な面も含めて手厚い対策が講じられなければならないのであります。また、分野別の施策を一体的に推進できれば、中山間地域で暮らす人々の生活の質を高めていくことができると考えます。 県外調査で訪問した広島県安芸高田市の川根地域では、もはや、個々の集落では農地の維持管理が困難となっていることから、集落の枠を超えて農地保全の活動が行われておりました。 「集落機能の維持」は地域振興の分野であり、「農地保全」は農業振興の分野でありますが、過疎化・高齢化が進む中では、それらの一体的な取組が必要と考えます。 また、山口県においては、中山間地域におけるコミュニティ組織づくりと地域交通の仕組みづくりを一体的に支援する事業が実施されておりました。一方、県内では北郷町社会福祉協議会が、所有する車両を使用して、公共交通機関を利用することが困難な高齢者等を対象とする「外出支援サービス」を福祉施策として実施しておりました。 県においては、現在、「地域バス再編支援事業」を実施しておりますが、高齢化がさらに進む中山間地域の5年先、10年先を見越して、施策分野を超えた地域交通の仕組みづくりが必要であると考えます。このような中で、山口県では、関係部局と調整を図りながら中山間地域対策を総合的に推進する「中山間地域づくり推進室」が設置されておりました。この推進室は、課と同列の組織であり、関係部局から農業や林業を専門とする職員も配置されておりました。しかし、それでもなお、調査の中で感じられたことは、複数の部局に跨る中山間地域対策を連携・調整を図りながら推進していくことの困難性でありました。 中山間地域が抱える課題は、生活必需品の確保から、医療、福祉、教育、交通、情報通信、住宅、産業に至る幅広い分野にわたり、かつ、それらは複雑に絡み合っております。このような課題に対応していくためには、柔軟に財政措置を講じることのできる権能と分野横断的に施策を推進する牽引力が県政に必要不可欠であります。 すなわち、 1.多岐にわたる課題に悩む市町村の相談にワンストップで対応し、一緒になって悩み、知恵を出す 2.生活者の視点で分野横断的に施策を講じていく 3.財政的な措置も柔軟に施す 4.一過性の対策とすることなく、全力で、継続して取り組んでいく 5.県や市町村の取組には限界があることから、制度創設や規制緩和などを含めて、国に対して本県の実情に応じた対策を講じるよう強く訴えていく 6.県民や県内の企業、団体等に対して、中山間地域が果たしている役割についての理解と施策に対する協力を求めていく このような中山間地域対策を強力に推進する知事直属の組織体制が必要なのであります。 当委員会では、東国原知事から中山間地域対策に係る知事御自身の考えを伺うとともに、当委員会からの提言として、知事に直属の組織体制を整備するよう強く求めました。 知事からは、中山間地域に対する思いや危機意識、問題意識は当委員会と共通したものであるとの認識が示されるとともに、中山間地域対策を推進する組織の設置を前向きに検討していることが明らかにされました。 しかしながら、知事の言葉にあったように、勉強部屋をつくったからといって勉強ができるようになるわけではないのであります。是非とも、知事御自身が陣頭に立って中山間地域対策を強力に推進する組織体制を整備するよう重ねて強く求めるものであります。 山口県議会において議員発議により制定された「山口県中山間地域振興条例」には、県の推進体制の整備や国に対する政策提言、さらには、県民の理解と協力に関する責務等が規定されておりましたが、今後、本県でも、このような条例の制定について検討されることも必要と考えます。 「中山間地域は、生命を育む地域である。」 島根県中山間地域研究センターで聞いたこのフレーズは、私どもの耳にも新鮮な響きに聞こえました。条件不利地域という側面だけではなく、中山間地域は都市部がもち得ない幾多の生命を育む力をもつという地域としての優位性に、私たちはもっと目を向けるべきであると考えます。 諸塚村長は、「私どもは上流に住んでいるということで、常にきれいな空気を保たねばならない。きれいな水を流さなければならない。それが、我々に与えられた責務であろう」と言っておられました。 中山間地域が与えてくれている恩恵に、私たち一人ひとりが報いる時が来ていると考えます。そこで暮している人々の生活が守られ、森や田畑がいつまでもその美しい姿を変えることなく、中山間地域が私たちの生命を育む地域であり続けるようにとの願いを申し上げて、当委員会の報告といたします。
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